「クラウドファンディングは、資金がない個人が使うもの」
そんなイメージを持っている方もいるかもしれません。
でも僕は、法人や企業にとってもクラウドファンディングはかなり使い道があると思っています。
むしろ企業の場合、
資金調達だけを目的にしない方が、クラファンの可能性は広がります。
新商品のテスト販売。
一般販売前の実績づくり。
新規事業の検証。
店舗オープンのPR。
最初のお客さんづくり。
ファンづくり。
新しい企業や人との接点づくり。
クラウドファンディングは、商品や事業を世の中に出すタイミングで使えるマーケティングのひとつです。
この記事では、法人・企業がクラファンを活用する代表的な方法を紹介します。
企業がクラファンをすると、
「資金繰りが厳しいのかな?」
と思われることを心配する方もいます。
でも、クラウドファンディングの目的は資金調達だけではありません。
市場の反応を見る。
商品・サービスを検証する。
認知を広げる。
最初のお客さんをつくる。
支援者との関係をつくる。
そして一般販売やその後の事業につなげる。
僕自身も、
「クラファンでいくら集めるか」だけでなく、その後のビジネスに何を残すのか
を考えることが大切だと思っています。
企業とクラウドファンディングの相性が特にいいのが、新商品です。
普通なら、
商品を開発する
↓
大量に製造する
↓
販売する
↓
売れるか確認する
という順番になります。
でもクラファンなら、
試作品や企画を見せる
↓
先行予約を集める
↓
市場の反応を見る
↓
その結果を踏まえて量産する
という順番もつくれます。
つまり、
「作ってから売れるか確認する」のではなく、「売れる可能性を確認してから作る」
ことができます。
どの価格帯が選ばれたのか。
どのリターンが人気だったのか。
誰が購入したのか。
どんな質問が多かったのか。
クラファンを実施することで、売上だけでなく市場からさまざまな情報を得ることができます。
ここ最近、企業のクラウドファンディングで僕が特に面白いと思っているのが、
一般販売より先にクラファンで実績をつくる
という使い方です。
通常なら、
一般販売を始める
↓
販売実績をつくる
↓
その実績を使って販路を広げる
という流れになります。
でもクラファンを使えば、
クラファンで先行販売する
↓
支援金額・支援者数という実績をつくる
↓
その実績を持って一般販売へ進む
という流れをつくれます。
たとえばクラファンで、
数百万円の支援。
数百人の支援者。
という結果が出たとします。
一般販売を始める時には、
「発売前のクラウドファンディングで○○万円、○○人から支援された商品」
という状態からスタートできます。
ゼロから発売するのとは、スタート地点が違います。
商品を小売店へ提案する場合も、
「この商品は売れると思います」
だけではなく、
「クラファンで○○人が実際にお金を払って支援しています」
という実績を見せられます。
これはかなり大きな違いです。
実際、CAMPFIREとビックカメラは現在「ビックFIRE」という取り組みを行っていて、クラウドファンディングでのテストマーケティングから、ビックカメラのEC・店舗での一般販売までをつなげています。クラファンで一定水準の資金調達に成功することが、店頭での取り扱い条件になる場合もあります。
つまり大手小売側も、
クラファンでの反応を、一般販売につなげる判断材料として見る
という流れが生まれています。
販売店側にとってもメリットがあります。
普通の新商品なら、
「新発売!」
というPOPになります。
でもクラファンで実績があれば、
「クラファンで○○人が支援した商品、ついに一般販売開始」
という見せ方ができます。
すでに話題や実績がある商品として紹介できるため、売り場でもストーリーをつくりやすくなります。
これは商品だけではありません。
出版でも同じです。
本を発売する前にクラウドファンディングを実施する。
そこで予約や支援者を集める。
すると発売時には、
「発売前から○○人が応援している本」
という状態をつくれます。
クラファンを、
出版費用を集める場所
としてだけ使うのではなく、
発売前の読者づくり、実績づくり、話題づくり
として使うこともできます。
もちろん、
クラファンで成功すれば一般販売も必ず成功する
というわけではありません。
でも、
支援実績・購入者・応援者を持った状態で一般販売へ進める
というのは、企業にとって大きな価値だと思っています。
新商品だけではありません。
新しいサービス。
新しい店舗。
新しい事業。
こうした企画にもクラファンを使えます。
会社の中では、
「これは需要があるはず」
と思っていても、
実際のお客さんがどう感じるかは、世の中に出してみなければ分かりません。
クラウドファンディングに出すと、
何人が興味を持ったのか。
どのリターンが選ばれたのか。
どんな質問が来たのか。
どんな人が支援したのか。
という反応を見ることができます。
集まった金額だけではなく、
市場から返ってきた反応そのものがデータ
になります。
僕はこれも、企業がクラファンを使う大きな価値だと思っています。
新しい商品を発売しても、
知られなければ売れません。
クラウドファンディングは、
「新商品を発売しました」
ではなく、
「こんな理由で、この新商品に挑戦します」
という形で発信できます。
開発した背景。
解決したい課題。
開発者の想い。
試行錯誤。
これから実現したい未来。
通常の商品ページでは伝えにくい情報まで、ひとつのストーリーとして発信できます。
つまりクラファンページそのものが、
商品紹介ページ+PRコンテンツ+ストーリー
のような役割を持つことがあります。
さらにSNSやプレスリリース、イベントなどと組み合わせれば、クラファンそのものを話題のきっかけにできます。
企業の新規事業で難しいのは、
商品をつくること以上に、
最初のお客さんをどうつくるか
だったりします。
クラウドファンディングなら、商品やサービスを正式に展開する前から支援者を集めることができます。
しかも支援者は、
商品が完成してから買った人ではありません。
まだ立ち上がる段階から、
「これ、いいですね」
と参加してくれた人です。
だから僕は、
クラファンの支援者は単なる購入者よりも、その後の強い応援者になりやすいと考えています。
クラファン終了後に、
一般販売を利用する。
リピートする。
人に紹介する。
次の商品も応援する。
そんな関係につながる可能性があります。
クラファンというと、
「新しい人を集める」
ことばかり考えがちです。
でも企業の場合、
すでにいるお客さんと一緒に新しい挑戦をつくる
という使い方もできます。
普段商品を買ってくれているお客さん。
店舗のお客さん。
取引先。
コミュニティのメンバー。
そういう人たちに、
「今度こんな挑戦をします」
と伝える。
すると、お客さんが単なる購入者ではなく、
新商品や新事業の立ち上げに参加した人
になります。
僕は、ここもクラファンの面白いところだと思っています。
商品を「買った」だけではなく、
「一緒にスタートさせた」
という体験が残るからです。
クラウドファンディングを始めると、
これまで接点がなかった人から連絡が来ることがあります。
「この商品を取り扱いたい」
「一緒に何かできませんか?」
「取材したい」
「企業として応援したい」
という形です。
僕は、
クラファンを“支援者を集めるだけの場所”として見るのはもったいない
と思っています。
商品や会社のことを広く知ってもらうことで、
卸先。
企業。
インフルエンサー。
メディア。
地域。
自治体。
など、新しい関係が生まれる可能性があります。
支援金額には表れなくても、その後のビジネスにつながる出会いが生まれることがあります。
ここは僕が企業のクラファンで特に大切だと思っているところです。
クラファンを、
「CAMPFIREの中で商品を売る30日間」
と考えないこと。
その前には、
既存顧客への案内。
SNS。
プレスリリース。
法人への営業。
イベント。
インフルエンサーとの連携。
などがあります。
そして終了後には、
一般販売。
EC。
店舗販売。
卸販売。
リピート販売。
次の商品。
があります。
つまり、
クラファンはビジネス全体の中のひとつの地点
です。
実際、「ビックFIRE 2026」のように、クラファン終了後のEC・店頭販売まで最初からつなげる取り組みも現在進められています。
クラファン単体で考えるより、
公開前 → クラファン → 一般販売・終了後
までつなげて設計した方が、企業にとっての価値は大きくなります。
会社に知名度がある。
既存顧客がいる。
いい商品を持っている。
だからクラファンも成功する。
とは限りません。
企業の場合も、
誰に買ってほしいのか。
既存顧客へどう案内するのか。
社員は協力してくれるのか。
取引先へ声をかけるのか。
SNSではどう発信するのか。
公開初日に誰が支援してくれるのか。
ここまで考えます。
会社の名前で公開すればCAMPFIREが集客してくれる
というものではありません。
企業だからこそ、
持っている顧客、取引先、販売網、社員、ブランドなどを、
クラファンにどうつなげるのかを考える必要があります。
企業の場合は、
社内で誰が決裁するのか。
誰がプロジェクト責任者なのか。
在庫や製造体制は大丈夫か。
大量に支援が入っても対応できるか。
発送は誰が担当するのか。
問い合わせ対応は誰がするのか。
広告や商品表現に問題はないか。
なども事前に整理しておく必要があります。
特に商品系では、
「想定以上に売れた時に、本当に届けられるか」
も考えておきます。
支援が大きく集まるほど、実行する責任も大きくなります。
企業からクラウドファンディングの相談を受ける時、僕は、
「いくら集めたいですか?」
だけでは考えません。
むしろ最初に知りたいのは、
「このクラファンが成功した後、会社としてどうなっていたいですか?」
です。
新商品の販売実績をつくりたい。
一般販売を成功させたい。
新規顧客を増やしたい。
市場の反応を確認したい。
店舗を知ってもらいたい。
法人との取引につなげたい。
ブランドを広げたい。
目的によって、クラファンの設計は変わります。
法人・企業にとってクラウドファンディングは、
資金調達。
先行販売。
テストマーケティング。
一般販売前の実績づくり。
PR。
顧客づくり。
ファンづくり。
販路開拓。
新しい企業との接点。
さまざまな役割を持たせることができます。
だから僕は、
「いくら集められるか」だけで企業のクラファンを評価しない方がいい
と思っています。
クラファンが終わったあと、
何人のお客さんが残ったのか。
どれだけ販売実績をつくれたのか。
商品について何が分かったのか。
一般販売につながったのか。
どんな企業とつながったのか。
その後の売上につながったのか。
そこまで見て、初めて企業にとっての成果が分かります。
法人でクラファンを考えているなら、
「クラファンでお金を集められないか?」
だけではなく、
「今のビジネスのどこにクラファンを入れたら、一番価値が生まれるか?」
から考えてみてください。
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